本を通じて地域の知的生活向上に貢献し
人の歴史と未来の足取りに寄与します

新栄堂の出版物

子供のころ、擦り切れるほど読んだあの本たち
新栄堂書店では、
そんな心に残る本たちを復刻いたしました

  • もぐらのグラボー 表紙

    もぐらのグラボー

    ムルシェツ, ルイズ【作・絵】〈Murscetz, Luis〉/山室 静【訳】
    出版:新栄堂書店

    【内容説明】
    グラボーは、まちはずれのはらっぱにすんでいます。ビロードのようなやわらかなけがわ、土をほるのにいい大きな手、ピンクいろのはな。いつもの“ふつう”がいちばん“しあわせ”。動物との共生、そして環境を考える癒しの絵本。

    この絵本の特徴は、

    1、グラボーとパワーシャベルの対比―絵のすばらしさ
    もぐらは小さいです。特に、測量の棒がグサリとささる場面は、ヒトの靴の大きさとくらべて、グラボーのサイズが、いかに小さいかを知るところでしょう。グラボーの手とパワーシャベルの破壊力の対比もまた見事です。さらに牧場のおじさん、つまり人間が地上から見る地面とグラボーが見上げる地上世界とのコントラストも、色使いの鮮やかさを伴い、見事に表現されています。

    2、自然蘇生と都市環境を考える
    最近マスコミで報じられるクマの被害は、人間の環境破壊が原因とされています。もぐらが掘り起こす地下活動は蘇生可能ですが、人間の活動は取り返すのが難しそうです。しかしこの絵本は、あまり環境破壊や人間否定を全面に出した描き方はされていません。極めて嫌みなく牧歌的に描かれているのは、著者であるルイズ氏がどこか、否定からでは始まらないなにか、気づきー気づかせることの大事さで、人間と動物との共生を願っているようにも感じられます。これが35年前に作られたとは驚きです。

    3、幸せの価値観の提供
    『なんてきがやすまるんだろう、なんてきもちがいいんだろう』ハレとケ。オンとオフ。日常と非日常。極度の幸運的な(時に金銭的)感動、あるいは極度の他者悲劇との相対に目をとらわれしあわせを感じられなくなっている現代。毎日の生活の中で得られる、ささやかなしあわせを、いっぱい感じること。孤独にもめげず新天地を目指すグラボー。めちゃくちゃ感動的にも、また、はちゃめちゃ悲劇的にも仕上がっておりません。ですが『なんかいいねー』そんな気がしてきませんか??

    2006年 12月
  • みつやくんのマークX 表紙

    みつやくんのマークX

    渡辺 茂男【作】/エム ナマエ【絵】
    出版:新栄堂書店

    【内容説明】
    主人公のみつやくんが、自分のデスクで水・陸・空兼用自動車を想像して、自分だけのスーパーカー「マークX」を創造する、夢と空想にあふれるストーリー。

    主人公のみつやくんが、自分の部屋のデスクにおいて、水・陸・空、兼用自動車を想像し、夢のようなスーパーカーを創造する物語です。読者ターゲットは4〜9才までの男の子とそのご両親で、読み聞かせ〜ひとり読み、まで、何度もくり返して愛用される一冊と自負しております。私自身も幼い頃より愛読して、弟と取り合いとなっても、なお中学生になっても読み続け、母親より、いい加減にしなさい、と諭された記憶があります。

    以下に、本作のすばらしさをご説明申し上げます。この度の発行は、前発行元のあかね書房様のお力添えと、前回の『もぐらのグラボー』と同様に発売元として実業之日本社様のご協力を頂いております。どうぞ宜しくお願い申しあげます。

    1、(子どもとのりもの) 作家 故 渡辺茂男様
    昨年末、日本の児童文学に大きな功績を残された、渡辺茂男先生が亡くなられました。手がけた児童書の翻訳や創作作品は数多く、書店店頭でお馴染みのものも多いでしょう。本作は今から34年前に作者の次男、光哉氏をモデルに書かれた意欲作です。あとがき(子どもとのりもの)では、先生の子供の立場に寄り添った着眼点、発想の原点が書かれています。さらにそこには、子が親に抱く愛情欲求というべきものが、親の視点から優しく脈々とながれております。著者曰く、遊園地で始めて電動自動車に乗って、『ハンドルを動かし動かし、やっとひとまわりするころには、それはもう得意で得意で、親の笑顔が眼にはいると、みてよ!みてよ!とさけびたいほどのうれしさだったものです』と。先生の生前のご活躍と児童文学への理解は、新潮文庫『心に緑の種をまくー絵本のたのしみ』渡辺茂男・渡辺鉄太著 に詳しくあります。

    2、(なつかしい未来) 画家 エム ナマエ様
    全ページに挿し絵が入っている本作。作家と画家のベストマッチと言えるべき本作の絵が、今は全盲で奇跡のイラストレーターとしてご活躍のエム ナマエ氏のデビュー作になります。独特で繊細な色使い、リアルでありメルヘンな感じが読み手の想像を膨らませ、本当に実現できるのではないか?という錯覚に陥ります。打ち合わせで驚かされたことは、失明されて21年経った今でも、ナマエ先生の中で純真に、全ての挿し絵が鮮明に描かれていることです。かつて多くの読者がマークXの飛躍と自分を重ねたように、あとがき(なつかしい未来)で曰く『永遠の恩師、渡辺茂男先生と、その教え子、若きエム ナマエが手を取り合って生み出した夢の自動車が、再びスタートラインでエンジンを始動させるのだ』と世紀を越えた復活に、今またナマエ様自身も運転席に座ったようです。

    3、仮説、実行、検証―ヒトの可能性を広げる。
    本作品の特徴は何といっても、少年の小宇宙、広がる想像力です。みつやくんがのびのびと、一台のモデルカーからマークXを作る過程、子供部屋から野山を越えて湖に降りる冒険、は誰でも夢に描きそうで、しかし誰も実現できそうにない。そういう意味で、本作品はプラン・ドゥ・シーの思考過程を自然に体得できる格好の教材と言えましょう。さあ、皆さまこの『みつやくんのマークX』と共に、夢と想像を広げましょう。

    2007年 5月

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